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京都・滋賀

「錦市場」を歩いて鱧寿司を食べる京都の夏

投稿日:2018-06-17 更新日:

Hamzo
錦市場 !

僕は生粋の大阪人だけど、大阪の黒門市場や木津市場より、京都の錦市場が好き。

大阪が天下の台所と言われていた江戸時代には、大阪中心部の靱公園あたりにも “雑喉場魚市場” と呼ばれた大市場があったのですが、今は面影すらなく、大阪船場に魚市場があった事を知る大阪人も少ないんですよね。

“錦市場” と “鱧” のこと

京都 | 錦市場

大阪の木津市場も300年の歴史があるそうですが、京都 錦市場の起源は更に古く、市場のおこりは平安初期の延暦年間と言われています。京都御所へ新鮮な魚を納める店が自然と集まり始めたもので、約1,300年の歴史を持つとのこと。

現在の錦市場は錦天満宮のある新京極から高倉通までの東西約400mの間に、京都の旬の食材や京野菜に京漬物、湯葉・鰻・佃煮・蒲鉾・乾物などから、茶・菓子・豆腐、陶器や刃物に至るまで、幾種もの “専門店” が独自性をもって商いを行う商店街。

観光客も多いですが、プロの料理人や買い出しの地元の方、お惣菜を求めるビジネスマンなど、毎日多くの人が錦市場を訪れ、京都の食文化を支える欠かせない存在となっています。

いわゆる卸売市場という雰囲気ではなく、巾4mほどのアーケードの両側に沢山の食材が所狭しと並べられた、何でも揃う「京の台所」という感じ。あの 狭っ苦しいなかにある熱量の濃さみたいなものが、なんかワクワクするんですよね。

ちょっと小腹が空いたときなんかに、ビール片手に軽く食べ歩きが出来るのも嬉しい。

どこかお祭りの様な雰囲気を感じるのは、人の賑わいだけではなく、アフリカ大陸の国々の国旗を思わせる南国チックなカラーのアーケード屋根や、錦市場の青物問屋に生まれた絵師「伊藤若冲」の鮮やかな鳥獣戯画等のタペストリー、様々な人種の観光客が話す多様な言語、それらが相まって錦市場独特の活気を感じるのだと思う。

しかし、大阪の商店街でこれだけの賑わいがあれば「はい いらっしゃい そこのにいちゃん ! これめっちゃウマいさかいに ちょっと寄って行き ! 今やったらまけとくで !! 」みたいな、客引きのおばちゃんの声がうるさくて仕方ないのだが、ここ錦市場ではほとんど聞くことがない。

京都商人は昔から “適量を適正価格で” をモットーとし、煽って購買を促す様な商売をしないのだとか。このあたりが、大阪商人と違うところで、京都人ならではの奥ゆかしさというか品の良さのルーツなのかな?

錦の水

京都の中心部に古くから魚市場が築かれ、発展した大きな理由が京都盆地に流れる豊富かつ良質な “地下水” 。

錦天満宮 | 錦の水

遥か昔の時代にはもちろん冷蔵庫の様なものはなく、地下水の冷気を利用して魚や鳥、野菜などを冷やして保存していました。

特に錦市場の辺り一帯は豊富な地下水「錦の水」に恵まれ、水温も一年を通して15~18℃と一定。また、京都御所に近いこともあり、魚店が自然発生的に集まって市場の形態が出来たと言われています。

現在も錦市場ではこの地下水を利用していて、大きなポンプで汲みあげられた水がパイプを通して各店に供給され、“京のうまいもん” の提供を支えています。錦の水は、まさしく市場の命の水。

京都の夏の風物詩 “鱧”

京都では、夏の風物詩として代表される旬の魚「鱧(ハモ)」

祇園祭は別名を “鱧祭” と言われるほどで、祇園祭の期間中は鱧の需要もすこぶる伸びるそうです。まさしく京都の夏と鱧は切っても切れない仲。

しかし海に面さず内陸に位置する京都中心部で、何故に鱧が夏の名物なのか? それも京都ならではの歴史と理由があるようです。

京都の中心部に大量の物資を運ぶ水運や陸運といった運搬手段がない時代には、「担ぎ」と呼ばれる行商人たちが、葛篭の箱の中に海水を張り、生きたままの魚を足で京都まで運んでいました。

主な海産物は瀬戸内海の明石港や淡路島からの行商人が担いで運び、また日本海の若狭からは有名な鯖街道を通って、鯖や甘鯛を運んでいました。京都の海産物の多くはその行商人たちの足によってまかなわれていたのです。

ちなみに、 iPhoneのグーグルマップで明石港から錦市場までの徒歩時間とルートを調べてみると「18時間43分(91Km)」と表示されました。 海水を張った籠に生きたままの魚を入れて、フルマラソン2回分を走ってのける人間って一体どんな体力やねん。なぜか間寛平が頭によぎった。

しかし、いくら健脚な担ぎの足を持ってしてでも、夏場になると炎天下の中、ほとんどの魚は酸欠で死んでしまうことが多かったらしい。ところが、獰猛で生命力の強い鱧だけは京都についても生きていたんだとか!?

しかし最初は煮ても焼いても骨っぽさが残る小骨の多い鱧に、当時から料理人も苦労したようで、試行錯誤の末、小骨を細かく切っていく「骨切り」という技術が編み出されます。


出典 : 京都「いいね!」カタログ

骨切りは皮一枚だけを残して、約3cmあたりに包丁を20回以上入れて骨を切っていくというもので、骨切りの技術を習得するのに10年はかかるのだそう。

関西では馴染みが深い鱧ですが、関東ではあまり食べられていない様です。関東地方は昔から色んな魚が多く獲れるので、わざわざ小骨の多い鱧を苦労して食べなくても良かったんでしょうね。

錦市場の端っこ「さか井」の鱧寿司

錦市場の西の端っこ、高倉通沿いに一軒の小さなお寿司さんがあります。 “寿司 さか井”  こちらのお店の名物、鱧寿司が実に旨い。

間口一間半ほどの店内は5人も座れば満員状態。カウンターのみにパイプ椅子と、お世辞にも綺麗とは言えない下町の居酒屋ライクな雰囲気ですが、地元の方から愛される50年以上の歴史を持つお寿司屋さん。

寿司も旨いが、饒舌な女将のトークと、黙々と寿司を仕込む寡黙な主人の対比もなかなか面白い。旬ではない魚を注文しようものなら「今は脂ものってなくて美味しないから、やめといた方がよろし」と女将がぴしゃり。

正直、今まであまり美味しい鱧に出会った事が無かったのですが、こちらの鱧寿司を食べて、鱧の価値観が変わったぐらい旨かった。

軽く炙って薄口のタレでいただきます。一見、穴子寿司の様ですが穴子よりふっくらしてて何とも上品な味わい。

「梅雨の雨を飲んで美味しくなる」と言われる鱧は、梅雨明けの頃から更に身に脂がのり旨くなるそうです。秋にはもう一つの名物 “鯖” が美味しく頂ける様なので、また是非行ってみたい。

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今回行った場所

錦市場商店街

寿司 さか井

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