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神戸「布引の滝」平安の貴族と世界の船乗りに愛された水の謎

投稿日:

Hamzo
神戸の水 !

1868年 (明治元年) の開港から150年が過ぎた “みなとまち神戸”

とかく神戸には海のイメージが強くついてまわりますが、市街地の三宮駅からほんの2kmも歩けば、豊かな自然に囲まれた山の中に辿り着く事は意外に知られていません。

東西に長く延びる 六甲山 は急峻で、最高峰の東六甲は標高930m。 これほど高く険しい山が海から数キロしか離れていない場所にあって、しかも山と海の狭い範囲に大都市が広っているというのは、世界的に見ても稀 な様です。

世界中の航海士たちも、緑生い茂る雄大な六甲山が港から望める神戸を賞賛するのだとか。

世界の船乗りが愛した “神戸のおいしい水”

神戸の名物といえば真っ先に「神戸牛」が思い浮かびますが、もうひとつの名物が「水」。ミネラルウォーターの先駆けとなった “六甲のおいしい水” は有名ですよね。

水が始めて飲料水として販売され始めたのは僕が小学校高学年の頃だったかな。味のついていないただの水をお金出して買う人なんておるんかいな? なんて思ったのをよく覚えている。

幕末の開港以来、港湾都市として栄えた神戸のまち。 神戸港に寄港する外国船がこぞって六甲山の水を給水したという。

神戸六甲の水は、赤道を超えても腐らず美味しさが変わらない特別な水として、世界中の船乗りたちから “世界一の水” と称えられました。現在も神戸の水を愛飲する有名アスリートも多いそうです。

先日、ハイキングがてら世界一の水の秘密と歴史を探りに、水源地である 布引 (ぬのびき)まで行ってきた。

布引の滝から布引水源地へ !

布引の滝


出典 : 神戸百景 | 布引の滝

六甲山の麓にある新神戸駅から布引水源地まではゆっくり歩いて一時間ぐらい。 本格的な登山スタイルじゃなくても気軽に自然を満喫しながらプチ六甲登山が楽しめます。

水源地までの道中は、雄滝(おんたき)・雌滝(めんたき)・夫婦滝(めおとだき)・鼓滝(つつみだき)の4つの滝からなる 布引の滝 を眺めながら登って行きます。

新神戸駅から布引の滝へと続く遊歩道を上って行くと、すぐに石造りの砂子橋(いさごばし)が見えてくる。

砂子橋 (明治時代から使われている水路橋)

哀愁漂う赤煉瓦がいい味を出している。導水管を渡すため明治30年頃に建設された古い水路橋で、橋の中の導水管は現在も機能しています。

程なくすると、一つ目の布引の滝「雌滝」に到着します。ちなみに “布引” の名前は、滝の流れる様子がまるで “布を垂らしたかのように” 美しく見えることから名付けられていて、白糸の滝と同じような由来と言えます。

雌滝 | 布引の滝

せっかくなので名前の由来通り、布を垂らした感じが出る様に撮ってみた。

平安時代のテーマパーク !?

布引の滝が広く知られる様になったのは平安時代にまで遡り、当時の布引の滝は現代でいうところの テーマパークの様な大人気スポット だったとか。遊歩道には貴人たちが “布引滝” を詠んだ名歌の碑が立っていたりします。

現在もパワースポットとして有名な布引の滝には、乙姫伝説や龍神伝説など多くの伝説が残っていて、「雄滝」に開いた大穴が龍宮城に続いているという説もあるとか!?

雄滝 | 布引の滝

平安時代に布引の滝がテーマパークの様な大人気スポットになったのは、見所がひとつの滝だけじゃなくて複数あり、散策して楽しむという魅力があったからだといわれています。

「伊勢物語」や「源平盛衰記」などの平安時代の歌物語にも、布引の滝がたびたび描写されることがあり、それらの作品の  “聖地巡礼”  的な楽しみもあったのだそう。 今も昔も、人のすることってあんまり変わらないんですね。

布引貯水池と分水堰堤


出典 : 神戸百景 | 布引水源地

さて、話を “美味しい水” に戻しましょう。

新神戸からスタートして歩く事一時間、 布引五本松堰堤 (布引ダム) へ到着。この界隈にある年季の入った建造物たちが「神戸六甲の美味しい水」を安定供給するために大きな役割を果たしている様です。

布引五本松堰堤 (布引ダム)

世界中の船乗りたちから “世界一の水” と称された「赤道を越えても腐らない美味い水」。この美味しい水がこの六甲山で作られる理由は地質と地形が関係しています。

六甲山の水の特徴は有機物(生物体を構成する物質)が極めて少なく、ミネラルバランスに優れた “軟水” であるという事。

六甲山地は主に 花崗岩 (御影石) で構成されています。この花崗岩層を雨水が通過することで水は自然にろ過されます。そのため腐敗の原因となる有機物は取り除かれて、適度にカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が溶け込みます。

神戸六甲の水は究極のミネラルバランスを保持しているのだとか。

布引五本松堰堤 (布引ダム)

これらの水の特徴は六甲山の 急峻さ も大きく関わっています。山の傾斜が急であると共に川の流れも急なため、 余分な不純物を抱え込むことなく水源地まで流れ着く 。おかげで常温でも5年は腐らないという水質の美味しい水が出来上がる、という訳です。

さらに上流にある 分水嶺堤 も美味しい水作りに貢献しています。

分水堰堤 (ぶんすいえんてい)

分水嶺堤は、川の流れを二つ分岐させてひとつは布引貯水池に、もう一つはそのまま下流に流す仕組みになっています。

通常、川の水は貯水池に流れ込みますが、洪水時 には貯水池につながる水路を閉めて別の水路に逃がし、濁り汚れた水を貯水池に入れない様に工夫されている。

おかげで余計な有機物や濁りが混じる事なく “美味しい水” の水質を保つことができています。

布引貯水池

布引五本松堰堤(布引ダム)が完成したのは1900年(明治33年)、日本初の重力式コンクリートダムとして建造されます。

分水堰堤が完成し、美味しさを保つことが出来る様になったのは1908年(明治41年)。以来、これらの歴史的建造物たちが100年以上の間、神戸の美味しい水を供給し続けています。

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今回行った場所

布引の滝

布引貯水池

分水堰堤

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