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「戸建住宅」を中古で買ってリフォームする際に気をつけたい5つのポイント

投稿日:2018-06-10 更新日:

Hamzo
中古を買ってリフォーム!

住宅建築関連の仕事をしていると、よく友人や知人から中古住宅購入の相談を受ける事がある。

なかでも多いのが「古家付き土地」物件をリフォームありきで購入検討しているけど、その家をリフォームやリノベーションしたら幾らぐらいかかるのか?という相談が多い。

古家付き土地とは、“中古住宅” として販売されている物件とは違って、“価値が認められない住宅がうわものとして建つ土地” の事を言います。

よく見る不動産販売の広告の分類では「土地」もしくは「中古住宅」のどちらかになるので、「土地 ※現況古家あり」として販売されているものが該当します。

スクラップアンドビルド思考の強い日本では、木造住宅の法定耐用年数は22年とされており、築20年以上の木造住宅は価値が認められない古家にされることが多い様です。

しかし木の文化が古くからある日本では、戸建住宅の70%を木造住宅 が占めていますから、築20年以上の木造住宅なんてそこらじゅうにごろごろある訳です。

ちなみに住宅の法的耐用年数は構造によって異なり、木造22年に対し、鉄骨造34年、鉄筋コンクリート造47年となっていますが、あくまでも耐用年数とは税務上で定められた減価償却用の数字なので、耐用年数=家の寿命という訳ではありません

また、中古物件の流通を支える不動産仲介業の、◯◯リハウスや ◯◯リバブルといった不動産屋の営業マンは、建築知識が無い人間がほとんどで、お抱えのリフォーム屋さんは、物件を売りやすくするためのインフィル部分のリフォームをこなす業者さんが多く、構造に関わるリフォームの扱いが多くないのが実状です。

今回は建築屋の目線で、中古の戸建住宅をリフォームありきで購入検討する際に、押さえておいた方が良い5つのポイントを備忘録的にまとめてみました。ご検討中の方の参考になれば幸いです。

POINT1「戸建住宅のリフォーム費用」

劇的リフォームをテーマにしたテレビ番組の影響もあってか、リフォームやリノベーションって新築より格安で出来る印象を持っている方が結構多い。いやいや、意外とかかるんですよねリフォームって。

一般的に戸建住宅のリフォーム金額は築年数が古くなればなるほど高額になることが多く、また、間取り変更を伴うリノベーションも高額になる傾向があります。

建物というのは大きくわけて、インフィル(住戸内の内装や設備等)と、スケルトン(柱・梁・床組み等の構造部分)に分けられます。

築年数が浅い(概ね20年未満)物件のリフォームであればインフィル部分の交換などで事足りますが、築古物件や大幅に間取りを変更するリノベーションは、スケルトン部分まで手を入れる必要性が生じるというのが高額になる理由です。

参考費用

【 建物種別 】平均的な二階建て木造戸建住宅
【 住居面積 】建坪40坪(延べ床面積132㎡)
【 築浅物件 】概ね築20年未満
【 築古物件 】概ね築30年以上

条件を上記とした場合の概算金額です。

 築浅物件のリフォーム
(インフィル部分のみの全面改装)
(間取りの変更は含まない)

【 内装・外装・水回り設備交換 】
【 7万円~10万円 / ㎡ 】
【 900万円~1,300万円 】

 築古物件のリフォーム
(スケルトン部分も含む全面改装)
(間取りの変更や断熱改修も含む)

【 構造補強・内装・外装・水回り設備交換 】
【 15万~18万円 / ㎡ 】
【 2,000万円~2,400万円 】

だいたいこれをひとつの目安にして貰えればよいかと思います。築浅物件なら多少であれば間取りを変えても大きくコストに影響することはないでしょう。

金額にずいぶん幅があるのは、工務店か大手リフォームメーカーによって2〜3割ぐらいの差異が生じる事を意味しています。また古ければ古いほど、解体後に隠蔽部の腐朽があったりして、更に高額になる場合もあります。

いざ中古物件を購入した後に、自分が思っていた以上にリフォームにお金がかかったという話も良く聞くので、購入前に十分検討しましょう。

「そんなに金かけなくても住めりゃぁいいんだよ!」って方もいるかと思いますが、戸建住宅は建てられた時期によってずいぶんと性能が違うんですよ!

POINT2「築年数による住宅性能の違い」

耐震基準

地震大国日本では建築基準法制定後、何度も “住宅の耐震基準” が見直されています。なので、建てられた年代によって、その住宅が持つ耐震性能はまちまち。

近年では耐震偽装問題で2007年に、阪神淡路大震災の被災によって2000年に改定されている耐震基準。まず、何より築年が「昭和56年(1981年)」以前か以降かで大きく耐震基準が変わっています。いわゆる新耐震と旧耐震ってやつです。

まず、旧耐震基準の建物を現行の耐震基準同等の建物にするなら、新築同等もしくはそれ以上のコストがかかります。といっても、現行の耐震基準はかなり高いので、旧耐震の住宅でも耐震補強を施せば「倒壊しない」レベルまで引き上げる事は難しくありません。

各自治体によって額は異なりますが、旧耐震基準の木造住宅の耐震改修には補助金があるのでそれを利用するのも良いでしょう。

ただ、旧耐震基準の住宅は、基礎も無筋が多く、地盤調査や地盤改良を行わずに建てれれている事がほとんどなので、建築物を頑丈に補強しても、地震によって基礎が破壊したり、不同沈下によって家が傾くリスクがあります。

基礎部分や地盤を後から補強する方法もありますが、高額なのでよほどの理由がない限り現実的ではありません。

よって、現行の建築基準法に近しい耐震性能を持った、戸建住宅(特に木造)を中古購入してなるべくお金をかけずにリフォームして住むのなら、2000年以降に建てられた物件にするのが良いでしょう。

しかし、2000年以前の物件や旧耐震の物件全てが構造的に弱い物件とは限りません。築50年でも良い材料を使って、安全に留意して丁寧に建てられた家は今でも十分な価値があると思います。

ただし築30年を超える戸建住宅は、建築業者や施主の意向によって性能や構造面に大きな差があることは事実。購入前に十分な検討が必要です。

尚、建築時期と確認申請時期には若干のタイムラグがあるので気をつけましょうね。昭和57年築でも建築確認申請が出されて認可されたのが、昭和56年6月1日以前の建物は旧耐震基準なので。

断熱性能

耐震基準と同じく、住宅の省エネ基準(断熱性能)も築古住宅と昨今の住宅ではずいぶん違いがあります。

そもそも日本の住宅における断熱性能は、多くの先進国の基準と比較してかなり劣っているのが現状。ようやく最近になってそれではいかん!という事で、我が国も住宅における省エネ化を促進していますが、中古戸建住宅の大半は「断熱性能に劣った住宅」と思っていいです。

なぜなら、住宅公庫の仕様書に「断熱」の記載がされ、断熱を施す事が奨励され始めたのが1979年なのでおよそ40年前実際に公庫融資で「断熱」が具体的に義務づけられたのが1989年でこれも30年前築30年以上の物件には断熱材が申し訳程度にしか施されていないことの方が多いです。

しかも当時の断熱材は現在のものには遠く及ばず、熱を一番通しやすい窓サッシもペラペラ。

これを、一定基準の断熱性能を持たせた住居にリフォームするには、やはりコストがかかることも頭に入れておきましょう。

POINT3「構造別に考えるリフォームの容易さ」

新築住宅の工法別の建築コストは、木造在来軸組工法が最も安く、2×4工法や鉄骨系プレハブ工法が後に続き、重量鉄骨造、そして鉄筋コンクリート造が一番高いというのが一般的。

木造在来軸組工法 < 2×4工法・プレハブ工法 < 重量鉄骨造(S造) < 鉄筋コンクリート造(RC造)

それでは工法によるリフォームの容易さはどうだろうか? 大幅な間取りの変更を伴うリフォームを前提に比較してみます。

木造在来軸組工法

 容易 ◯ 

柱と梁で建物を支える工法なので、間取りによっては梁の補強や耐力壁などが必要になることもありますが、基本的には容易に間取りの変更を伴うリフォームが行えます。

2×4工法

 やや制約有り △ 

在来工法に比べると動かせない壁が多いので、間取りはやや制限されてしまいます。しかしハウスメーカーが建てた2×4住宅(三井ホームなど)は、耐震性に優れ、高気密高断熱なのでおススメ。2×4工法には一定のルールがあるので、それを理解していれば、希望の間取りにできるケースもあります。

鉄骨系プレハブ工法

 やや制約有り △ 

プレハブ工法とはあらかじめ部材を工場で生産・加工し、建築現場で加工を行わず組み立てる建築工法のこと。ハウスメーカーの多くはこの工法です。(積水ハウス・セキスイハイム・ダイワハウス・パナソニックホーム etc)

基本的には主要構造物である柱や梁に、軽量鉄骨を用いて建てられている事が多いのでルールさえ分かれば間取り変更も容易にできますが、それぞれのハウスメーカーが独自のクローズド工法(一般に公開されていない工法)で建てているので、その建物を建てたメーカーでないと構造面を含む変更や増改築は難しい場合が多いです。

重量鉄骨造(S造)

 極めて容易 ◎ 

主要構造物である柱や梁以外は、構造材ではないので間取り変更は極めて容易です。間仕切壁を取った後の補強も基本は不要で、比較的、大空間が取りやすいのが特徴です。

鉄筋コンクリート造(RC造)

 両極端 ◎ or ▲ 

RC造は柱と梁のみを構造体としたラーメン構造と、壁自体に耐力を持たせた壁式構造の2種類に分類されます。

ラーメン構造の場合は間取りの制約が少なく、大空間も取りやすいのが特徴。かたや、壁式構造は壁自体が家を支える構造体なので基本的にとる事が出来ません。よって、取れない壁が多く間取りにも制約が多いのが特徴。ちなみに上のイラストは壁式構造になります。

POINT4「家の履歴」

リフォームを前提に戸建中古住宅を購入するなら、その家が誰の手によって、どの様な届け出がされて、どの様な計算で建てられたか?等の建築資料の有無がとても重要です。

チェックリスト

□ 建築図面・設計図書(構造図の有無)
□ 建築確認申請書
□ 検査済証
□ 構造計算書(S造・RC造・木造三階建)

注文住宅か?建売住宅か?

注文住宅の場合は施主が建築会社を選び、こだわりを持って建築されているので、築古物件でも構造図を含めた建築図面が残っている事が多い

かたや建売住宅は、建築図面はおろか販売時の間取図すら残っていないという事の方が多い。そもそも、一般的な建売住宅はコスト優先で建てられるので、家に使用されている材料も基本的にコスト安なものが使われています。

大掛かりなリフォームには、新築時にどの様に建てられたかの記録が非常に重要です。リフォーム・リノベーション前提で中古戸建を買うなら、建築図面はマストアイテムと言っていいでしょう。

建築確認書類と検査済証

家を建てるにはまず設計をしなければいけませんが、建築基準法上に沿った適法な家を設計する必要があります。法令上問題ない設計図面を役所に申請し、認可を受けないと家は建てられません。

この役所に申請する書類のことを「建築確認申請書」といいます。

また、建物が完成したときに、実物が建築確認申請をクリアした図面と全く同じかどうかのチェックを受けなければなりません。そのチェックをクリアした証明書として出されるのが「検査済証」になります。

中古不動産売買の場合、相当の年数が経過しているため、売主が確認済証や検査済証を紛失しているケースが非常に多く、確認申請書や検査済証は一度発行されると紛失しても再発行は出来ません。

確認申請書や検査済証が無い物件でも、リフォームして住む事は可能ですが、新たに確認申請が必要な増改築工事を行うにはかなりハードルが高く、役所の建築指導課の見解によっては不可のケースもあります。

遵法性

築古の戸建住宅で意外と多いのがいわゆる「違法建築」の物件です。違法建築にも種類がありますが、主だったものは…

□ 建ぺい率・容積率がオーバーしている。
□ 接道義務違反(敷地が2m以上接道していない)
□ 未登記の増築が有り

まず、違法建築のデメリットは住宅ローンを組むのが非常に困難なこと。銀行は違法建築にはお金を貸してくれません。キャッシュで買ったとしても、将来的に売りたいと考えた時に、やはり購入者側がローンを組めないため、売れない可能性が大きくなります。

また、違法建築は確認申請書通りに建てられていないという事なので、構造面もきっちりと建てられているかどうかに不安があります。

不動産会社によっては違法建築物の中古住宅を、お買い得として進めるなんて事も聞いたりしますが、建築屋からいうと絶対に手は出さない方が良い物件です。

ハウスメーカー製は安心?

住宅展示場に軒を並べる大手ハウスメーカー。ハウスメーカーの中古住宅は流通価格が若干高い様ですが、デメリットは価格ぐらいのもので、安心感を含めたメリットの方が多いです。

□ 基本性能が高い住宅が多い
□ 大きな瑕疵(欠陥)にあたる可能性が低い
□ メーカー保証の引き継ぎのある場合もある
□ 自社ストックへのアフターサービスが充実

POINT5「建物の形状」

建物形状はシンプルなものが良い

建物の形状は出来る限りシンプルなものが良いでしょう。なぜなら凹凸がある建物やデザイナーズ住宅は変化があって、見た目にはかっこよいのですが、建物の構造や雨仕舞も複雑になりがち。

建物の形が複雑になればなるほど、雨漏りのリスクが高くなり、建物自体の耐震性も弱くなるのが一般的です。

屋根の形状も谷がたくさん入った複雑なものより、寄棟や切妻の方が漏水リスクは低く、下屋根付きより総二階の方が家のトラブルは少ないと言えます。

また、L型やコの字型などの形状の建物は、地震の際に各々の棟が異なる方角で揺れるので、その接合部が壊れる可能性が高くなります。中古に限らず住宅は可能な限りシンプルな四角形が一番トラブルが少ないと言えます。

まとめ

日本の全住宅の流通量に占める中古住宅の流通シェアは、約15%程度と欧米諸国に比べると依然として低い水準にあります。空き家率は13%に達し、平成45年の空き家率は30%を超えると予想されています。

日本において既存住宅の流通は大きな課題と言えるでしょう。

もし自分が「リフォームを前提として中古の戸建住宅を購入する」なら、築20年 ~ 1981年までの間に建てられた新耐震基準物件のなかでも、なるべく新しいもの。そして、建築時の資料が一式残っている事。 建築後に雨漏れなどのトラブル履歴がなく建物形状が極力シンプルなもの。

 これを基準として物件を探して “住宅性能を向上させながら自分好みにリノベーション” します。

条件が厳しいかもしれませんが、空き家率がどんどん高くなり、住宅ストック過多になってゆく中古住宅市場なので、意外とこれからは、磨けば光る “お宝中古物件” がどんどん世にでてくる事が予想されます。

建築知識の無い方は購入前に不動産仲介業者だけではなく、建築士やリノベーションを得意とする会社に相談する事をおすすめします。

マンションは毎月の修繕積立金で計画的に大規模改修によるメンテナンスが施されますが、戸建住宅の定期的なメンテナンスは全てオーナーの意識次第です。

同じ築30年の物件でも、オーナーさんがきっちりとメンテナンスをしていた物件は劣化も少なく、住み継ぐ価値もありますが、全くノーメンテの物件は年数相応の劣化だけでなく、床下や屋根裏などの見えない部分にトラブルを抱えている場合もあります。

いづれにしても住宅不動産は高価な買物なので、中古で買う場合は十分に検討してから決めましょう。

では、また!

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