関西の奥座敷、湯の町 “有馬温泉” 。
大阪・神戸からも程近い距離にありながら、昔ながらの温泉まち風情を満喫できる有馬温泉が僕は大好き。 四季折々の景観と歴史情緒、そして日本でも指折りの名湯をフラッと気軽に楽しめる有馬温泉には、年に数回は必ず訪れます。
日本で一番古い温泉といわれ、日本三名泉(有馬・草津・下呂)に数えられる有馬温泉。 現在の有馬温泉を形作ったのは、この温泉郷の大ファンだった “豊臣秀吉” といわれていますが、温泉地としての歴史はさらに深く、日本書紀にも登場するほど。
江戸時代から続く正月の伝統行事
毎年、正月の1月2日に有馬温泉で行われる伝統行事 “入初式” 。
なかなか歴史情緒あふれる伝統行事なのですが、意外にあまり知られていない様で、例年、お正月を有馬温泉で過ごしていた観光客のみなさんが 「 にゅうしょしき だって! 知らなかったねー♪ 」 なんて口々に言ってるのがお約束の出来事。
えー、にゅうしょしき ではなく 入初式 と読みます。
What’s “入初式” ?
入初式は江戸時代から続くとされる、神仏習合の伝統行事のこと。
堅苦しく言うと、有馬温泉を発見した大己貴命、小彦名命と、有馬温泉を再興した恩人である 行基上人・仁西上人 に、報恩と温泉の繁栄を祈念して行う式典です。
江戸時代の入初式 「摂津名所図会」
簡単に言うと、有馬温泉を発見したとされる神様と、奈良時代に有馬温泉を形作った、偉いお坊さん方に感謝を表し、その年の “初湯” を行基上人と仁西上人の木像に注ぐという一連の儀式です。 毎年の一番風呂は古の開祖に捧げようって事ですね。
古式豊かな新春行事
温泉寺
有馬温泉にゆかりのある方々や、艶やかな有馬芸妓らが温泉寺に集まり、定刻になると練行列が出発します。湯泉神社の神輿と、行基上人像・仁西上人像を乗せた温泉寺の御輿が担がれ、温泉街を練り歩きます。 まさに神仏習合の儀式という感じ。
一行は、道中、昔の一の湯「金の湯」で汲んだ初湯を受け取り、初湯は稚児姿の芸妓が “湯もみ” して冷ました後、柄杓で両像に注がれます。最後は帯を体の前で結んだ 湯女役の芸妓が温泉街に伝わる歌と舞を披露します。
式が終わると再び、一行は有馬界隈を歩き「戻せ返せ」と名残りを惜しみ、有馬温泉の一年を迎えます。
有馬のおすすめ日帰り温泉
神戸市の無形民俗文化財に認定されている入初式。 鼻水を垂らしながらこの行事を見届けた年は、有馬温泉名物の “金泉” でゆっくり身体を温めてから帰ります。
出典:有馬温泉観光協会
有馬温泉には結構多く “日帰り温泉” を楽しめる温泉がありますが、案外、お湯の品質にばらつきがあります。 何度も有馬温泉に足を運んでいる僕が、最もよく行く、穴場おすすめ温泉をひとつご紹介しておきます。
竹取亭別亭 “康貴”
出典:有馬温泉観光協会
こぢんまりとした浴場ですが “金泉” と “銀泉” が揃っていて、特に金泉は隣接する泉源から直接引いているので、新鮮で泉質も良く、温度も高め、濃度もめちゃめちゃ濃い温泉です。 湯治効果が高いという評判もあるようです。
小さな温泉なので入場制限がかかる事もある様ですが、入浴料 1,000円で 金泉・銀泉の両方が楽しめるのはかなり嬉しい。
それでは、今年一年が良い年でありますよーに。
では、また!