
なぜか関西では 飴 に愛おしさを込めて「ちゃん」をつける。
おばちゃんだけではなく、老若男女が皆そう呼ぶ。 我が家のパントリーには、そんな「飴ちゃん」が数種類、常備してある。 夜中に小腹が空いた時、珈琲のお供に、コロコロ、ボリボリ。
味は出来るだけシンプルな方がいい。案外、昔ながらの砂糖と水飴だけのやつが一番美味しかったりする。
今回は、京都好きの僕が、まち歩きに出かけた際によく買って帰る京都銘菓の「飴ちゃん」をひとつ紹介したい。
幽霊子育飴
いつ聞いたが分からないが、記憶の片隅にこの話が残っているという方も多いのではないでしょうか?
「 子育て幽霊 」
ある夜、店じまいした飴屋の雨戸をたたく音がするので主人が出てみると、青白い顔をして髪をボサボサに乱した若い女が「飴を下さい」と一文銭を差し出した。主人は怪しんだが、女がいかにも悲しそうな小声で頼むので飴を売った。
翌晩、また女がやってきて「飴を下さい」と一文銭を差し出す。主人はまた飴を売るが、女は「どこに住んでいるのか」という主人の問いには答えず消えた。
その翌晩も翌々晩も同じように女は飴を買いに来たが、とうとう7日目の晩に「もうお金がないので、これで飴を売ってほしい」と女物の羽織を差し出した。主人は女を気の毒に思ったので、羽織と引き換えに飴を渡した。
翌日、女が置いていった羽織を店先に干しておくと、通りがかりのお大尽が店に入ってきて「この羽織は先日亡くなった自分の娘の棺桶に入れたものだが、どこで手に入れたのか」と聞くので、主人は女が飴を買いにきたいきさつを話した。
お大尽は大いに驚いて娘を葬った墓地へ行くと、新しい土饅頭の中から赤ん坊の泣き声が聞こえた。
掘り起こしてみると娘の亡骸が生まれたばかりの赤ん坊を抱いており、娘の手に持たせた三途川渡し代の六文銭は無くなっていて、赤ん坊は主人が売った飴を食べていた。
お大尽は、「娘は墓の中で生まれた子を育てるために幽霊となったのだろう」と「この子はお前のかわりに必ず立派に育てる」と話しかけると、娘の亡骸は頷くように頭をがっくりと落とした。この子供は後に菩提寺に引き取られて高徳の名僧になったという。
その後、飴屋は「幽霊飴」と呼ばれ大繁盛したのだとか。
出典:wikipedia
450年以上続く、日本一歴史ある飴屋
“子育て幽霊” や “飴買い幽霊” として伝わるこの怪談話は日本各地に広く分布し、落語の題材にも使われたりもしています。
この話のモデルになったのが、京都の東山にある みなとや幽霊子育飴本舗 という老舗飴屋です。
日本で最も古い飴屋として、現在は20代目がお店を切り盛りしておられます。 昔ながらの製法を守り続ける名物の飴は、水飴と砂糖のみで作り、型に流した原料をトンカチで割って砕いたもの。
材料がシンプルなだけに素朴な味ですが、甘ったるくなく、後味もスッキリしていて、個人的にはブラック珈琲かストレートティーと一緒にいただくのがおすすめ。
この飴ちゃん、食べると出世する縁起ものとしても有名で、現在も近くの六道珍皇寺や六波羅密寺などを参った後に、必ずこの飴を買って帰るという人もいるのだとか。
祇園や八坂神社、清水寺といった京都中心部の観光スポットからも、程近い場所にあるので、近くに行った際にはお土産に買って帰ってはいかがだろうか。
では、また!
今回行った場所
みなとや幽霊子育飴本舗 公式ホームページ