日本らしい四季の風情を楽しむことができるまち「京都」。なかでも秋の紅葉時期と並んで人気なのが “桜” 咲く春の季節。 まちの彼方此方が桃色に色付き始めると、桜の名所と言われる有名スポットは平日でも多くの人で賑わいます。
京都市上京区の西陣界隈には、比較的小さな寺社がたくさん点在しています。 春にはそれぞれの境内に美しい桜が咲き誇るのですが、観光客があまり訪れる場所ではないので、ゆっくりと静かに桜を楽しみたい人にとってはかなり “穴場” のスポット。
しかも、観光シーズンの有名スポットにありがちな、くっそ高い拝観料なども不要というのも嬉しい。今回は京都御所から西陣へ、カメラを片手に桜を愛でながら1日散歩してみました。
どうぞ最後までお付き合い下さい !
京都御所
京都御所は御苑内にある歴代天皇の元皇居。御苑も含めて通称 “御所” と呼ばれる広大な敷地内には、桜の木が約1,100本も植えられていて、春には苑内のあちこちが桜の花で賑わいます。人も少なくはないのですが、その広さゆえにあまり混雑を感じる事はありません。
御所の桜と言えば “近衛邸跡の枝垂れ桜” が有名ですが、それ以外にも複数箇所に桜がたくさん咲いているので、苑内を散歩しながらゆっくり桜を眺めて歩くのがおすすめ。
仙洞御所
御苑内にある “仙洞御所” は、譲位した天皇(上皇・法皇)の御所のこと。敷地いっぱいに広がる庭園は幕府の作事奉行 “小堀遠州” が作庭し、後に後水尾上皇が手を加えたものと言われています。
回遊式庭園とになっていて、北池と南池を巡りながら季節折々の変化に富んだ風景が楽しめます。なかでも “桜の馬場” と言われる、醒花亭から州浜・南池を臨む春の景観はとても美しい。 仙洞御所の見学は事前予約制になりますが一見の価値あり。
“京都御所” から “京都府庁旧本館” まで 徒歩15分
京都府庁旧本館
1904年(明治37年)に竣工し、100年をゆうに超える現在も創建時の姿をとどめ、現役の官公庁建物としては日本最古の “京都府庁旧本館” 。 明治期のカリスマ庭師 “七代目小川治兵衛” が作庭した中庭には、垂れ桜をはじめ7本の桜が咲き乱れます。
例年、桜の季節には “観桜祭” というイベントが開催されているので、タイミングを合わせて行ってみるもの良いのではないでしょうか。 歴史情緒ある旧本館の窓から見下ろす庭園の桜はとても美しい。
さて、京都府庁から堀川通りへと向かいます。
“京都府庁旧本館” から “一条戻橋” まで 徒歩15分
一条戻橋 堀川通りの桜並木
“一条戻橋” はその名の通り堀川に架橋された一条通の橋。橋そのものは何度も作り直されていますが、平安時代から「一条大路」の堀川を渡る橋として、現在と同じ場所に架けられていたといわれています。
一条戻橋の桜と言えば、染井吉野よりも一足早く開花し、3月中旬ごろに満開を迎える “河津桜” が有名なのですが、4月に咲く堀川通り沿いの桜並木もなかなかのもの。
沿道の桜を横目に、西陣方面へ堀川通りを北へと向かいます。
“一条戻橋” から “水火天満宮” まで 徒歩15分
水火天満宮
堀川通りに面した小さな神社 “水火天満宮” は、洛中の隠れた桜の名所のひとつ。 水難・火難除けの神様としても知られている神社です。
桜のシーズンには境内一面を埋め尽くす枝垂れ桜が美しく咲き誇ります。境内が狭いだけに “桜の屋根” がかけられた様になり、圧巻の見ごたえ。
また、早咲きの枝垂れ桜が散っても、遅咲きの枝垂れ桜が咲き始めるので、水火天満宮では4月中旬まで桜を楽しめます。
“水火天満宮” から “本法寺” まで 徒歩3分
本法寺
江戸時代に洛北鷹峯に一大芸術村を築いた本阿弥光悦と縁の深い “本法寺“ 。 4月になると染井吉野が咲き乱れ、境内全体が桜色に染まります。
特に多宝塔付近の桜は手が届きそうなぐらい。東門まで伸びる石畳に沿って植えられた何本もの染井吉野が、何ともきれいな桜のアプローチを作ります。
大芸術家の菩提寺というだけあって美しく静かな寺院でした。ここ、はっきり言ってオススメです。
“本法寺” から “妙蓮寺” まで 徒歩6分
妙蓮寺
西陣にある “妙蓮寺” は、鎌倉時代に創建された日蓮上人ゆかりの寺院。歴史ある境内は、春を迎えると染井吉野・枝垂桜・八重桜と順に数多くの桜で華やかに彩られます。
また “御会式桜” という、秋から春の半年間かけて満開を迎える不思議な桜が有名。
“妙蓮寺” から “千本釈迦堂” まで 徒歩20分
“桜井公園” の桜と “首途八幡宮” の桃
最後の目的地「千本釈迦堂」までの道中にも、桜がとてもきれいな場所があったので立ち寄る事に。
西陣 「桜井公園」
(左)源平花桃 (右)枝垂れ花桃
満開の桜で埋め尽くされた桜井公園の隣では、首途八幡宮のアプローチに植えられた花桃の木々が紅白に色付いておりました。
千本釈迦堂
築およそ800年という、京都市内最古の木造建造物にて国宝に指定される本堂が有名な “千本釈迦堂” 。その本堂前に阿亀桜(おかめざくら)と名付けられた大きな枝垂桜が植えられています。
地面にまで達する枝に無数の花が開花し、その姿はとても華やかで、時折吹く春風に揺れる姿も風情がありました。
あとがき
上京区・西陣界隈は、普段も静かな京の風情を感じるまち。 今回は桜のピーク期に、ほぼ一日かけて御所から西陣界隈のまちを約5kmほど歩きました。
さすがに普段よりは多少は観光客も多かった気はしますが、かなり静かに、お腹いっぱい桜を楽しむ事が出来ました。 人ごみを避けてゆっくりと京都の桜を楽しみたい方にはオススメできるコースだと思います。
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