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「光の教会」Church of the Light | 大阪 茨木市の閑静な住宅街にひっそりと建つ安藤忠雄の名建築

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S.L
世界のANDO !

“光の教会” (茨木春日丘教会)は大阪府北部の丘陵地、茨木市にあるキリスト教プロテスタント系教会。言わずと知れた 安藤忠雄氏の代表建築のひとつです。 カメラを持って見学会に行ってきたので写真と合わせて雰囲気を綴っておきたいと思います。

静かな住宅街に溶け込み、緑に囲まれる様に建っているので、意識しなければうっかり見落とすぐらい自然な佇まい。建物周囲に元々ある木々は全て建築前からここにあるものだそうです。安藤忠雄氏が提唱する、自然と建築のつながり 自然との共生 ってコトですね。



Church of the Light

今や誰もが知ってる日本を代表する建築家 “世界のANDO” ですが、大阪市出身ということもあって、大阪や神戸には初期からの安藤作品が数多く残っています。

安藤建築は一般的に “コンクリート打ち放し” そして “光と影” の陰影を巧みに用いる設計で有名ですが、「光の教会」はそれを強烈に印象づける作品のひとつ。

十字架と光について

礼拝堂の祭壇の後ろに光の教会を特徴づける十字架状のスリット窓が壁面いっぱいに設置されており、この 光の十字架 以外に室内に十字架はありません。この十字架を設計した意図について安藤氏はこう語っておられます。

いわゆる十字架を物で表すよりは心で表したい、と。心は何かというと、やっぱり光なんだ、と。その光の向こうに何かあると。光の向こうに希望がある、ということを考えて、光でいこうと。だからここには直接的な形のあるものではなくて、光がそれぞれの人たちに与える光の与え方は違うでしょう。あの向こうに何か自分は楽しいものがあるとか、自分は辛いことがあるとか、自分はもっと苦しいことがあるのかな、いやあの向こうに大きな夢があるのかな、というようなことを、それぞれの人たちが感じるような教会にしたい、と。

NHK教育テレビ「こころの時代」から引用

ちなみに安藤氏はこの十字架のスリット窓に最後までガラスを入れたくなかったようです。

「光と同時に冷たい風が入り、寒さに耐えつつ身を寄せ合いながら祈り、互いが助け合いながら生きるることの大切さを実感する」ために、そうしたかった。

建築当初は教会員から反対が出て、最終的にガラスを入れることになりましたが、今でもいつかは外したいって思ってるそうです。

光と影のコントラストが印象的な礼拝堂ですが、足場板で作られた床や礼拝参加者の座る椅子はオイルステインで黒く塗装され、光と影の対比がさらに強調されています。

単なる光の「明るさ」ではなくて、影により印象づけられる「光」とのコントラストで独特の空間美が生まれているのだと思います。

光の教会が出来るまで

礼拝堂は1989年の竣工なので、築後およそ30年ほど経ちますが完成するまでは色々な困難があった様です。

もともとこの教会は施主が安藤建築が好きな方で、少ない予算で設計を依頼しました。「お金がないからこそいいアイディアが出る」というポジティブ思考で生まれたのが、無駄なものを一切排除したこの教会の原案でした。

「壁につくったスリットのみで教会の十字架を造る」。何かを足すのではなく、削って十字架をデザインする。逆転の発想ですね。また、余計な色が少ないので、光と影がより強調されます。しかし実際は、多くの人が集まる建物なので人々の衣服や持ち物がアクセントとなって丁度良い具合になることをまで考えて設計されています。

僕も建築に携わる身なので、デザインを優先したこのスリット十字架窓をパッと見て、「うわ、これ造るの大変だっただろうな・・」って思ったのですが、やはり構造上の難題がいくつもあった様です。

十字架は壁一面の上下左右に一番端の部分にまで切込みを入れるようにデザインされているので、上部の壁は天井からぶら下がっている状態なんですね。そのため、通常より多くの鉄筋が必要となり予算的に大変な苦労があったといいます。

まとめ

僕が見学に行った日はたまたま人も少なかったですが、教会という特性もあってか外国人の見学者の方が多かったです。訪れる人が黒い椅子に腰かけて、各々の静かな時間を楽しんでいる様でした。

尚、光の教会は本当に普通の静かな住宅街の中にある建築物です。見学には必ず公式ホームページからの予約が必要です。見学日以外の来訪や、マナー違反などが近隣で問題にもなっているようなので気を付けたいところですね。

では、また !

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今回行った場所

≫「光の教会」公式ホームページ

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