
リーガロイヤルホテル大阪「メインラウンジ」
吉田五十八 といえば、村野藤吾、堀口捨己と共に、モダン数寄屋建築家として知られていますが、実は関西に作品があまり多くない。
大阪中之島のリーガロイヤルホテルには過去にも何度か泊まった事はありますが、恥ずかしながら昭和大阪の老舗ホテルぐらいにしか思っていませんでした。
つい最近、吉田五十八が晩年に意匠設計を手掛けたホテル建築だという事を知り、カメラを持って一泊してきました。まじまじと良く見ると、ほんと良い建築だったので、当ブログの一頁にも写真を添えて綴っておきたいと思います。
吉田五十八の世界観
リーガロイヤルホテルは1965年竣工のウエストウイング、1973年竣工のタワーウイングで構成されています。大阪政財界の「賓客のための近代的ホテルを大阪に」という要望により生まれたといいます。
設計を手掛けた吉田五十八は 東京・日本橋 の生まれで、太田胃酸の創業者である父が58歳の時に誕生した事にちなんで「五十八」と名付けられた・・・という、いかにも古き良き時代の日本を連想するエピソードが好きだ。
万葉文様の大緞通が敷きこまれ「日本の伝統美」を表現したという、一階のメインロビーからラウンジへと続く空間は、創建当時から高い評価を得ていたといいます。
ロビーは低い天井を感じさせない様に、カラフルでド派手な大緞通の意匠としたという事ですが、個人的には人の少ない朝か、夜にゆっくりと鑑賞してみるのがおすすめです。
メインラウンジは、昭和の造園家・荒木芳邦氏が手掛けた日本庭園から落ちる滝を屋内に引き込むよう、床に曲水のせせらぎを配置して、庭園とのシームレスな関係を具現化しています。
一見、主張が激しい「紫雲」を表現したというシャンデリアと、何本も立ち並ぶ「鳥模様金蒔絵」の柱ですが、700㎡の大空間とその奥に広がる庭園の迫力もあって、全くうるさくなく、静けささえ感じる不思議な空間でした。
朝早く起きて、吹抜けの二階からそっとラウンジを眺めていると、程よい間隔で配されたソファーセットが庭園に咲く花々の様にも見えた。
こちらのメインラウンジでホールを担当されている女性店員の方々が、着物で接客をされているのが何とも風情があってよかったですね。 ゆっくり読書されたり、テレワークされている方もいらっしゃいました。
メインラウンジは宿泊しなくても喫茶利用は出来る様なので、気軽に訪ねてみるのも良いのではないでしょうか?
今回行った場所
リーガロイヤルホテル大阪 公式HP
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