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京都

京の夏庭「天授庵」「金地院」 疏水のせせらぎと小堀遠州の名庭

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S.L
水の南禅寺へ !


南禅寺塔頭 「天授庵」

いよいよ夏本番。 猛暑のみぎり、皆様いかがお過ごしでしょうか?

三方を山に囲まれた盆地という地形が故に、夏の暑さが厳しいと言われる “京都” 。 そんなに他と違うかね ? とも思うが、来てみるとやはり実際に暑い。春秋の観光シーズンは国内外の観光客でごった返す京都ですが、流石に真夏は人の数もやや少なめ。

この季節になると岡崎の南禅寺辺りに行きたくなる。 蹴上駅を降りて、ねじりまんぽを潜り、大きなお屋敷を横目に歩を進めると、清らかな 琵琶湖疏水 の水が道路の傍をそよそよ流れている。

疏水の分線は水路閣を流れ、哲学の道を通り北白川を北上してゆく。

(左)琵琶湖疏水 第三トンネル (右)南禅寺水路閣

蝉の声を聴きながら、自然豊かでどこかに水の気配が感じらるこの界隈を歩いていると、ふと懐かしい気持ちになったりするのは僕だけじゃない筈。

また、明治中期に開通された琵琶湖疏水によって、京都の庭園文化は大きな発展を遂げたと言います。今回は蒸し暑い京都の夏に癒やしをもたらしてくれる、深緑がきれいな南禅寺塔頭の “夏庭” をサクッとまわってみたい。



天授庵

天授庵 は南禅寺の開山、大明師の塔所。 こちらでは枯山水庭園と池泉回遊式庭園、 2つの庭の深緑を楽しめます。

“淵黙庭” (えんもくてい) と呼ばれる方丈東庭は苔と敷石がモダンな枯山水庭園。苔に縁取られた石畳が菱形に並べられていて、幾何学模様の様で何ともモダン。白砂の砂紋とのコントラストが良く効いている。

天授庵 「淵黙庭」

奥の生垣前には、松・椿・楓などが豊かに植え込まれていて、夏の深緑だけではなく、春の新緑、秋の紅葉、冬の繊細な姿など、四季折々の美しさを堪能できます。何より人が少ないのがいい。静かな本堂の縁側に座って暫く眺めていたいお庭です。

枯山水庭園から中門を潜って歩を進めると、睡蓮の名所としても知られる南庭の池泉回遊式庭園へと誘われる。

天授庵 「南庭」

書院前に広がる池泉廻遊式庭園は、東西2つの池を中央部ですばめて結んだ南北朝時代の特徴を色濃く残している庭園だという。

静かな佇まいのなかに水の流れる音が何とも心地よく、重なり合う緑の隙間からは夏のきらめきが降り注ぎ、目に映るものすべてが緑色に染まる。この天授庵の池泉回遊式庭園を歩くと「やっぱり水の南禅寺だなぁ」とつくづく思う。

また、池を囲むもみじが色づく紅葉の季節には、水面に映る葉が美しく彩られる、もみじの名所としても知られています。 書院の窓によって縁取られる光景は、一幅の名画のようにハッとする美しさがある。

金地院

金地院 「鶴亀の庭」 小堀遠州 作庭

天授庵から徒歩2分の 金地院 も南禅寺の塔頭。なかでも国指定特別名勝の庭園 「鶴亀の庭」 は、徳川家康の相談役であった名僧、以心崇伝(いしんすうでん)が、小堀遠州に依頼して作らせた江戸初期の代表的な枯山水庭園として良く知られている。

小堀遠州は安土桃山時代から江戸時代前期にかけて活躍した大名であり芸術家。茶道・書道・作庭・建築とマルチな才能を持った羨ましいお方です。 徳川幕府の作事奉行を務め、御所や城などの建築・造園に携わりました。

京都を中心に “小堀遠州作” と言われる庭が数多いなかで、金地院の鶴亀の庭は遠州作として確実な資料が残っている希少な庭園。以心崇伝が詳しい日記を残していたからだとか。

他に京都の小堀遠州作の庭園といえば、二条城二の丸庭園や仙洞御所の庭が有名ですね。


仙胴御所

金地院の「鶴亀の庭」は、鶴は千年亀は万年というように、いつまでも徳川家の繁栄が続くようにと願って作られた庭園。 方丈から眺めると、海に見立てた白砂の波紋の上に “鶴島” と “亀島” が向かい合い、背景には葉の落ちることのない常緑樹が植えられている。

金地院は枯山水庭園も良いが、そこに辿り着くまでのアプローチが何とも良い趣きです。

鬱蒼とした木立の中に配された弁天池の小路をいそいそと歩く。強い日差しが作るコントラストが美しい。緩やかな起伏を描きながら一直線に延びる石畳の傍では、紫陽花の花がほんのりと夏の彩りを添えていた。

まとめ

南禅寺といえば本山の小堀遠州作とされる国宝方丈庭園や、水路閣、山門がとても有名ですが、今回まわった塔頭寺院もかなりお勧めです。

桜や紅葉のシーズンと比較すると、夏の青もみじのシーズンはかなり空いているので、日によっては庭園を独り占めして散策を楽しむこともできますよ。 着替えのTシャツを1枚バッグに詰めて、夏の京都へ出かけましょう !

では、また !



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今回行った場所

天授庵

金地院

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