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「旧帝国ホテル」フランク・ロイド・ライトが遺した東洋の幻

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Hamzo
ライト建築!


旧帝国ホテル 「ライト館」

“フランク・ロイド・ライト” は 日本でも良く知られる、アメリカ合衆国が生んだ世界屈指の建築界の巨匠。

ライトは91年間の生涯で400余りの作品を手掛けていますが、その殆どは母国であるアメリカに遺されています。 米国以外で遺るライト建築は、F.L.ライト 第二の故郷と言われた「日本」に僅か4作品が現存するばかり。

今回は F.L.ライト の代表作とも言われた “旧帝国ホテル” について少しばかり綴ってみたい。

西洋建築と日本建築の融合

1923年(大正12年)7月、東京は日比谷の地に、4年間もの工事期間を経て フランク・ロイド・ライト の手による、二代目の帝国ホテルが竣工します。

ライト設計の新帝国ホテルの披露宴が開かれる予定だった 大正12年9月1日、関東大震災が東京を襲ったのは、まさに宴の準備がなされていた時でした。

周辺の多くの建物が、倒壊や火災などの甚大な被害に見舞われる中、鷲が両翼を広げた様な佇まいの “帝国ホテルライト館” は、ほとんど無傷のまま、変わらぬ勇姿を見せていたという。

ライトが帝国ホテルの設計にあたり、耐震性や防火性に配慮したのは言うまでもありませんが、旧帝国ホテルが関東大震災を耐え抜いたという事実は、その後、長らく耐震神話のように残り、ライトの名声を高める要因となります。

震災当日、ライトが周りの反対を押し切って設けたという、ファサードの池の水が防火水槽となり、火災の延焼を最小限で留めたといいます。

メイド イン ジャパンの建築美

親日家であり、東洋思想にも深い理解があった F.L.ライト。

ライトが旧帝国ホテルの設計モチーフとしたのが、京都宇治の “平等院鳳凰堂びょうどういんほうおうどう” と言われています。 地を這うような水平性、西洋建築では珍しい深い軒、左右対称の全体像がそれを物語っています。

旧帝国ホテルを特徴づけるのは、類稀なその意匠性ですが、それを実現させたのが日本で産出、製造された数々の建築資材です。

石でありながら、加工しやすく燃えにくい特性持つ栃木県宇都宮近郊で産出された 大谷石おおやいし。焼物のまちとして古くから知られる、愛知県は常滑とこなめに設けた、帝国ホテル専用の煉瓦れんが製作所で造られた スクラッチ煉瓦やテラコッタ。

西洋でも東洋でもない独特の建築美は、それらの日本産の素材が相まって表現されています。また、ライトは日本の石工職人たちが作りあげた大谷石の傑作を見て、その完璧な製造技術と妥協なきものづくりの姿勢に深い感銘をうけたと言われています。

ライトが仕掛けた日本の建築美

低い天井のエントランスを潜り小上がりの階段を登ると、これでもかと言わんばかりの大空間がドーンと一気に迎え入れる。 この空間演出技法は、人の気持ちを開放させ安堵感を与える効果があるという。

実はこの低く抑えられた空間から一気に開放するという空間演出は、昔から日本で良く使われた建築技法です。 日本建築の要素を何気なく取り入れている辺りが、ライト自身に大きな影響を与えたという “日本文化” への敬愛と造詣の深さが感じられます。

日本の文化は、私の人生で最大の衝撃だった。
物事の単純化、省略化によって生まれる美。
それは、まるで神の啓示のようだった。

フランク・ロイド・ライト

旧帝国ホテルには、空間の魔術師と言われたライトがこだわり続けた、空間の流動性と連続性が凝縮されています。 建築の外側と内側に、同じ素材を用いる事によって空間が連続して感じられる。

また、ライトは、段差を用いたスキップフロアーを好んで使った建築家としても有名です。 空間を単純に壁や階段で繋ぐのではなく、僅かな段数の小階段を随所に仕込み、空間を流動的につないでいくのがライト建築の真骨頂といえます。

バリアフリーが当たり前とされている現在では、到底、こんなホテルは建てれないでしょうね。

光とタイルの建築美

ライトの旧帝国ホテルには、煌びやかなシャンデリアなどの照明は一切ありません。

スクラッチタイルと大谷石が組み合わされた照明を兼ねる柱、“光の籠柱かごばしら” からは照明の柔らかい光が溢れ、隣り合う同じデザインの透彫煉瓦を通して外部の自然光が差し込む。 これが、まるで建築そのものが光を与えていると思わせる様な仕掛けとなっている。

この辺りの緻密な空間演出が、ライトは帝国ホテルで 「採光もデザインした」 と言われる所以ゆえんなのかも分かりません。

まとめ

F.L.ライトの旧帝国ホテルは、開業から40年余りという短さで、老朽化と地盤沈下、客室数の少なさを利用に1968年、建替反対運動もむなしく取り壊されてしまいました。

もし今も遺っていたら、世界の名建築の一つとなり、タイのマンダリン・オリエンタルや、香港のペニンシュラを凌ぐ、東洋一の名クラシックホテルに君臨していたんじゃないでしょうか。

旧帝国ホテル ライト館は、玄関部分の一部のみ愛知県の明治村に十数年の歳月をかけて移築再建され、今日でも在りし日の面影を偲ぶことができます。

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今回行った場所

旧帝国ホテル(明治村)

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