“異人館” とは、幕末や明治期以降の日本で、欧米人が住むために建てられた西洋住宅の事。
日本全国に今も異人館はいくつか残っていますが、なかでも神戸は北野の異人館街や塩屋のジェームス山など、多くの異人館が残る街として有名ですよね。
では、神戸でいちばん大きな異人館ってどこにあるかご存知ですか?
王子動物園!
それは北野でも塩屋でもなく動物園のなかにあるんです。関西人には馴染みの深い「王子動物園」のなか。そう、ジャイアントパンダとかコアラでも有名な。
阪急電車に乗って幼少時代によく親に連れて来て貰った思い出がある神戸市灘区の王子動物園は、調べると昭和初期から開園しているかなり老舗の動物園の様です。
また、王子動物園は神戸市内でも有数の “桜の名所” としても知られていて、園内には約480本のソメイヨシノが植えられていてます。愛らしい動物を眺めながらお花見も出来るとあって、桜の季節になると沢山の人で賑わいます。
旧ハンター住宅
旧ハンター住宅は1889年(明治22年)頃に、北野町に建てられ、後に英国人のE・H・ハンター氏が買い取ったことから、その名で呼ばれています。現在も北野町には在りし日の名残で “ハンター坂” という地名が残っています。
旧ハンター住宅の設計は明治期に神戸で多くの異人館を手がけた “アレクサンダー・ネルソン・ハンセル” の手によるものと推定されています。木造2階建てで、南側にベランダを持つコロニアル様式の建築と明るい色使いの外観がハンセル設計の特徴です。緑とファサードと白い格子窓のコントラストが印象的。
昭和38年に保存のため王子動物園に移築された旧ハンター邸は、神戸に現存する異人館の中では最大級とあって、なかなかの迫力。
外観同様に内部マテリアルも緑を基調としていて、大理石の暖炉が設けられたりステンドグラスが飾られたりと豪華な造作が見受けられます。
今回、古建築ファンの僕がおススメしたいのは桜の季節の異人館見学 !
園内の桜の開花と共に、旧ハンター住宅の前庭にもソメイヨシノの桜が、これでもかと言わんばかりに咲き誇ります。
春のポカポカ陽気に、桜と可愛い動物たちを見て回るのもいいですが、古建築ファンの僕としては、明治時代に神戸の開港から間もなくして生まれた異国文化の象徴である異人館と、日本の国花である桜が創り出す “異国情緒溢れる日本的な美” を眺めながら、そこに身を置いて、一世紀以上の歴史を感じる時間がなんとも心地よいものなんですよね。
ちょっとマニアックかもわかりませんが(笑)…
国の重要文化財にも指定されている「旧ハンター住宅」は、内部の見学ができるのは春の4月と5月、秋の10月のみの様です。
毎年4月上旬には期間限定で「夜桜通り抜け」が開催されているので、合わせて訪れてみるのもおススメです。
では、また !
王子動物園 公式ホームページ
A.N.ハンセルの異人館
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