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「旧川崎家住宅」GUCCI BAMBOO HOUSE 京町家の試み

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S.L
京都 新町通りへ!

先日、グッチのブランド創設100周年を記念して開催された体験型エキシビション「GUCCI BAMBOO HOUSE」に行って来た。

このイベントの会場となったのが、古くから京都の中心街路として栄えた 新町通り 沿いに立つ京町家 旧川崎家住宅 だ。

旧川崎家住宅は大正末期の室町の豪商 井上利助が建てた建築で、F.L.ライト建築風の外観を持った洋館を備えた珍しい町家である。設計には近代日本を代表する建築家の武田五一が関わったとされる。

戦後、市内で呉服製造卸を営む川崎家が購入の後、つい近年まで町家美術館「紫織庵」として一般公開されていたのだが、2018年あたりに所有者が変わったらしく、2019年に当建築の解体騒動があった事は記憶に新しい。

その後の経過を、新町通りを通る度に気に留めて見ていただけに、今回のエキシビジョンを耳にした時はとても嬉しく思った。



GUCCI BAMBOO HOUSE

“GUCCI 京都” のロゴが入った暖簾を潜り、洋館を横目に石畳のアプローチを踏んで玄関へと向かう。

玄関を入ったすぐ右手が洋間になっていて、往時はここで簡単な来客を迎えることが出来たのだという。この洋間部分の設計が内外部ともに武田五一といわれている。

格天井に独特の雰囲気を持ったシャンデリア、マントルピースに朱色のカーテンなど、元々のベースとなる意匠はほとんど触ることなく、壁紙や家具をグッチ仕様に、上手くリノベーションされていた。

旧川崎家住宅がGUCCIのエキシビジョン会場として選ばれたのは、京都がブランド発祥の地、イタリア・フィレンツェの姉妹都市であるという事だけではなく、伝統的な茶室や洋間、大塀造とレンガの壁など、日本と西洋の建築様式や意匠が共存し調和している空間は、グッチの折衷主義的な哲学と共鳴する部分が多いのだという。

数寄屋の名工が手掛けたとされる茶室は、伝統的な日本の茶道とグッチの美の世界観が融合した空間へと再生され、新たに「竹節庵」と名付けらた。

エキシビション全体を貫くテーマは “バンブー(竹)”

バンブーは、グッチを象徴するハンドバッグの素材であり、またその節を持ちながら天に向かって伸びていく姿に、グッチの100周年という節目への思いを重ね合わせているのだという。

期間限定のエキシビジョンというのが残念ではあるが、年々、少なくなる京都の文化遺産である町家の魅力とポテンシャルを最大限に活かしたイベントであると感じた。

また、次はいつ見学出来る建築かは分からないが、この様な機会を経て、末永く存続される事を願ってやまない。



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今回行った場所

旧川崎家住宅

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