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ヴォーリズ「旧忠田邸」クラブハリエ日牟禮カフェ特別室の設え

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Hamzo
ヴォーリズ建築で珈琲を !

滋賀県の 近江八幡おうみはちまん は、安土城城下町から楽市楽座を受け継いで商人町として栄えた町。現在も城下町の町割りなど昔の名残りを色濃く残し、往時を偲ばせる風情のある町並みが彼方此方に見られます。

八幡堀

近江八幡のシンボルともいえる 八幡堀 は八幡山城の外堀として掘られただけではなく、両端を琵琶湖と結び、物流の要衝として町の繁栄に大きな役割りを果たしました。 江戸時代後期には、東海道五十三次最大の宿場 “大津宿” と並ぶ賑わいを見せたといいます。

近江八幡発祥の老舗菓子屋 “たねやグループ” の 日牟禮ひむれヴィレッジがある八幡堀の山側は、その昔、武家屋敷が置かれたエリアであり、いにしえから日牟禮八幡宮の営みの恩恵を受ける領域とあって、どこか厳かな雰囲気が感じられます。

軒下にいくつもの赤提灯を携え、昔ながらの茶店をイメージしたという純和風外観の “たねや日牟禮乃舍” とは対照的に、対面に建つ “クラブハリエ日牟禮館” の外観意匠は茶褐色の煉瓦で覆われた威厳ある洋風の佇まい。

正面に二連アーチを持ったクラブハリエ店舗棟の端から奥へと伸びる小道に歩を進めると、建物を超えてもなお、アメリカ積みで積まれた煉瓦造の外塀がしばらく続きます。

程なくすると「CLUB HALIE」のピットサインが施された、古煉瓦塀の向こうから可愛いらしい外観の洋館が顔を覗かせる。



旧忠田邸(クラブハリエ日牟禮カフェ)

近江八幡は日本における西洋建築の父 ウィリアム・メレル・ヴォーリズ が生涯に渡って、生活と活動の拠点にした町であり、ヴォーリズファンにとっては何度も訪れたい特別な地。

近江八幡でヴォーリズ建築巡りをするのであれば、スケジュールに入れておきたいのが こちらの 旧忠田ちゅうだ邸 。 僕は数回目の近江八幡でこの建築に足を運んだのですが、かなり良い時間を堪能させて頂いたので、是非とも当ブログでもお勧めしておきたい。


クラブハリエ日牟禮カフェ特別室「ハリエビュー」

現在は クラブハリエ日牟禮カフェ特別室 という名前で呼ばれるこの建物は、元々、1937年(昭和12年)に、大阪朝日新聞社で重役を務めた忠田ちゅうだ兵蔵氏の邸宅として建てられた、スパニッシュスタイルのヴォーリズ建築になります。

古くなった旧忠田邸を、地元の “たねやグループ” が丁寧に再生改修を行い、カフェの特別室という位置付けで一般に喫茶開放しているものですが、元々の住宅の趣きをそのまま残して改修されているので、カフェというより小さなお家といったイメージです。

クラブハリエ日牟禮カフェ特別室(旧忠田邸)

泰山タイルとも見てとれる玄関土間の傍らには、ヴォーリズの定石どおり腰掛けとなる靴箱が置かれ、玄関ホールを経て美しいシルエットが特徴的な階段室へと続く。

ホール横の小部屋や、クリスタルのドアノブなど、ヴォーリズファンには嬉しいディティールがそのまま残されているのが実に心地よい。 それでは、特別室として喫茶を楽しめる4つの部屋を順に回って行きましょう。

1階 ハリエリビング

まずは陽当たりの良い南側に開けた広く明るいリビングルーム。いわゆる、アーチやロートアイアンを多用したスパニッシュスタイルではなく、装飾もシンプルに纏められています。アンティークのカップボードにはさりげなくマイセンの食器が並んでいる。

ハリエリビング

家というのは器であり、住まう人がその器を自分色に彩っていくものですが、再生されたヴォーリズ作の器に調和したインテリアが、主張し過ぎず上品な彩りを添えているといった感じ。 僕はこちらのハリエリビングで、ゆっくり珈琲とスコーンを頂いた。

1階 ハリエライブラリー

この部屋は少しこじんまりとした書斎 、今でいうところの “DEN” にあたる部屋ですね。DENとはいわゆる隠れ家的な、趣味を楽しむための部屋という意味で使われます。やはりこの手の書斎部屋は男心をくすぐります。

ハリエライブラリー

以前の家主である忠田兵蔵氏は、大の読書家で、写真とカメラを愛好していた方だったとか。当時は邸宅内に本格的な現像用の暗室もあり、趣味を楽しみながら穏やかな晩年を過ごしたといいます。

2階 ハリエビュー

窓から広い庭を望むハリエビューは、間取りからいうと、当時は主寝室、もしくはサブリビングといったところでしょうか。和洋折衷要素の強い住宅ですが、一階と比較して二階は、和のテイストがより濃くなっている印象です。

ハリエビュー

端部に ちょっこっとだけアールのデザインをあしらった、チェアの肘掛けと、開き窓の取っ手、アイアンのカーテンレールが、やや格式ばった印象の部屋に程よい柔らかさを与えている。 大人の社交部屋といった感じですね。

2階 もうひとつの洋室

ハリエビューの隣にも広く明るい洋室が配置されています。デコラティブなダイニングセットの存在感が際立つこの部屋は、通常、喫茶利用は出来ない様ですが、置かれた椅子の数から言うと大人数の来客用なのかも分かりません。

2階 和室

二階の一角に何の違和感もなく和室が配されています。 ヴォーリズ建築に和室がある事自体は珍しくないのですが、こちらの和室は、薄縁敷きの床の間に、円窓と網代天井の床脇、面取りの竿縁天井と、中々 凝った作りをしています。

和室

朱色の鏡面テーブルと竹製の椅子が、和モダンな空間作りを手伝っています。心静かにお茶を楽しむには良いお部屋ですね。

まとめ

バームクーヘンで有名なクラブハリエですが、前身の「種屋」がバームクーヘンの製造を始めたのも、近江八幡の同じ町内に住んでいたヴォーリズの薦めと指導によるものといわれています。

近江八幡に点在するヴォーリズ建築ですが、通常、内部を一般公開している建物が少ないなかで、往時の面影を綺麗に残した邸宅でゆっくりと建築見学が出来るのは嬉しい限り。

クラブハリエ日牟禮カフェ特別室 は前日までの予約が必要ですが、予約時間内は貸切でヴォーリズ建築と珈琲を愉しめます。

クラブハリエ日牟禮カフェ特別室 公式ホームページ



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今回行った場所

クラブハリエ日牟禮館

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