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「神戸女学院」ヴォーリズが残した素晴らしきミッションスクール

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Hamzo
ヴォーリズ建築 !


神戸女学院「ソール・チャペル」

大正から昭和初期にかけて、日本に数々の近代洋風建築を築いた ウィリアム・メレル・ヴォーリズ 。 元々、若き頃のヴォーリズが英語教師として滋賀県近江八幡に来日したのは、キリスト教の伝道が目的だったのは有名な話ですよね。

建築家ヴォーリズが日本各地で手掛けた作品は、住宅・百貨店・レストラン・オフィスビル・病院など多種にわたりますが、なかでもとりわけ多いのが 教会建築 と ミッションスクール の設計であり、現在もその多くが現役の建築として活用されています。

ミッションスクールの名作

神戸女学院 は 関西学院、聖和大学と共に、西宮市の上ヶ原丘陵に広がるヴォーリズが手掛けたミッションスクール建築群のひとつ。


神戸女学院 「総務館・理学館・文学館・図書館」

先に建設された関西学院と同じく、スパニッシュ・ミッション・スタイルで展開された神戸女学院は、上ヶ原丘陵に連なるミッションゾーンの最終章にあたるものであり、ヴォーリズ作品の中でも屈指の名作として知られています。

また、神戸女学院のヴォーリズ設計によるオリジナル建築物12棟が、2014年に「重要文化財 神戸女学院」という名称で国の重要文化財に指定されました。キャンパスほぼ全体が重要文化財という環境は全国でも他に例を見ないのだとか。

そして有り難い事に、神戸女学院は時折、ヴォーリズ建築ファンに向けてキャンパスの見学会を開いてくれる。 僕も過去に何度か参加させて貰っているのですが、何度行っても飽きる事のない、W.M.ヴォーリズ名作の魅力を綴っておきたい。

諏訪山 から 岡田山 へ

関西人なら、“西宮” にあるのに何で “神戸” 女学院なの ? という素朴な疑問を持つのですが、元々は神戸北野の異人館街のすぐ近く、諏訪山を背にした山本通4丁目の一画を校地とした学舎が発足の地で、現キャンパスは1933年(昭和8年)に移転されたものになります。


「神戸女学院」 諏訪山 山本通時代

初代 神戸女学院 の歴史も実に古く、大正初期には既に創立40周年を迎え、4,000坪余りの校地に10数棟の学舎を設けています。明治初期の発祥をたどると、京都の同志社と時を同じくしてアメリカン・ボードによって設立された、最初のミッションスクールだった様です。

しかし、増える学生数に対し、諏訪山の立地には学舎を増設する余裕がありませんでした。 昭和8年、大学部の充実など将来の発展を期して、現校地である西宮市岡田山に40,000坪余りに及ぶ校地を得て移転されたのが、現在の神戸女学院となります。


「神戸女学院」 諏訪山 山本通時代

岡田山という里山の恵まれたランドスケープを活かしたキャンパスの配置計画や、森の中に点在する華やかな学舎建築群の設計に至るまでの全てを一任されたのが、建築家として円熟期を迎えた W.M. ヴォーリズ でした。

ヴォーリズ自身も、かつて新キャンパスの構想を練るために幾度となく諏訪山学舎を訪ねた様です。事実、いくつかの旧校舎のイメージがヴォーリズ作品に反影されているといいます。

森のアプローチを登り “講堂” へ

キャンパスは南の正門から岡田山の丘陵に沿った結構な長さのアプローチから始まる。途中、スクラッチタイルの意匠が施された音楽館が見え隠れし、やがてヴォーリズの世界観へと誘われる。そして丘を登りついたところが講堂正面のロータリーとなります。

講 堂

キャンパスのほぼ中央にある “講堂” は、モーゼス・スミス記念講堂と称される学院の中で最も中心的な建築の様です。講堂には800席余りの椅子が配され、演壇を縁取る半円型のプロセニアムアーチと両脇のアラベスク模様の円窓が華やかさを演出している。

この講堂で入学式や卒業式などの式典などが行われる様ですが、見学会の度に、卒業生に「有働由美子」さんがいらっしゃった事を教えて頂ける。 調べてみると「笛吹雅子」さんや「赤江珠緒」さんを始め、アナウンサーを多く輩出している女学校みたいですね。

講 堂

ちなみにヴォーリズの奥様、一柳満喜子夫人も神戸女学院音楽部ピアノ専攻の卒業生。ヴォーリズは妻の母校という事もあり、特別な思いを込めて設計にあたったといわれています。

回廊を歩いて 明るい “図書館” へ

講堂の後ろにはヴォーリズ設計による4棟の建物で囲まれた中央広場があります。この4棟の建築が渡り廊下でぐるっと繋がれているので、広場は中庭の様な趣きに閉じられていて独特の世界観を持った景観が広がっています。

廊下や階段など、校舎の要所に設けられた半円型のアーチ窓から射し込む明るい光が綺麗な印影を作り、それぞれのマテリアルに施された装飾の随所にヴォーリズらしいこだわりが見られ、廊下を歩いているだけで何とも楽しい。

図書館は中庭に向かって北側を正面とし、講堂のある総務館と対面する形で建てられています。中庭に開放する様に設けられた閲覧室が、とても明るく軽やかな印象を受けた。


図書館 閲覧室

図書館 閲覧室の天井は約6mの吹き抜けになっていて、北側壁面には7連のアーチ状の大窓が開き、直射日光から本を保護しながらも夕方でも十分に光が差し込む様に設計されています。この辺りの、使い手への配慮がいかにもヴォーリズらしいといったところ。

閲覧室を最も印象付けているのは、現し意匠となった大梁や小梁に描かれた、アラベスク文様の天井化粧。どこか可愛らしいデザインが、いわゆる図書室で連想される閉鎖的なイメージとは対照的な、明るく柔らかいイメージを演出している様にも思えた。

図書館 閲覧室

長机や備え付けのスタンド照明など、建設当時のコンセプトに沿った全ての調度品が統一したイメージを作り上げていました。

厳粛な “ソール・チャペル” へ

神戸女学院はプロテスタントのミッションスクール。 ヴォーリズが信徒の立場で伝道に従事したのもプロテスタントでした。講堂のある総務館には小さな礼拝堂 “ソール・チャペル” が設けられています。


ソール・チャペル

ソールとは Soul “魂” を意味するのかと思っていましたが、どうやらそうではなく、当学院の第4代院長ソール女史を記念して、ソール・チャペル “Searle Chapel” と称される様です。

厳粛な雰囲気の会堂は、片側に細長い側廊を設けた “バシリカ様式” と呼ばれる空間で構成されている。室内の壁面は全体にトラバーチンの石積みに見せるペイントワークで仕上げられ、屋根を支持する木造トラスの存在感とのバランスが絶妙に感じられた。

ソール・チャペル

7本のキャンドルを形どったステンド・グラスは、新約聖書、ヨハネの黙示録第一章に記された7つの燭台にちなんでいるとの事。飴色のガラスが嵌められたアーチ窓から差しこむ光がチャペル内を黄金色に染め、敬虔な祈りの空間作りを手伝っていた。

泰山製陶所のスクラッチタイル ?

大正・昭和初期に活躍した多くの建築家たちが、好んで自らの建築意匠に取り入れた “泰山タイル” 。 独特の窯変や布目が特徴的な美しい装飾タイルで、ヴォーリズも作品のいくつかに泰山タイルを用いています。

神戸女学院にも泰山タイルが納められているのは有名で、開口部の一部に施工されている青と白のタイルは、いかにも泰山の布目タイルと見てとれるのですが、学舎の外壁意匠の過半に用いられている “スクラッチタイル” も、どうやら泰山タイルである … らしい。

神戸女学院 外装タイル

神戸女学院や先斗町歌舞練場などの近代建築に用いられたスクラッチタイルが泰山タイルなのか ? そしてその繋がりの謎 ? を、過去に記事にしているので興味のある方は是非、覗いてみてください。

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まとめ

ヴォーリズが自然豊かな阪神間に残した神戸女学院の校舎群は、戦災と震災という二つの大禍をくぐり抜けてなお、ほぼオリジナルの原型を保ちながら、大切に管理・保存され岡田山で歴史を刻み続けています。

学舎内で、しばし垣間見えるヴォーリズの楽しい遊び心や、学生たちへの温かい配慮も感じられる素晴らしい建築でした。

では、また !



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今回行った場所

神戸女学院大学

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